10年ぶりとかそういうレベルだと思うんですけど、かなり久しぶりに舞台を観に行ってきました。村上春樹さんの「ねじまき鳥クロニクル」が原作の舞台です。
場所は東京芸術劇場。池袋にこんな素敵な劇場があるなんてねぇ。埼京線一本で行ける幸せ。
ねじまき鳥クロニクルは、文庫本3冊からなる、壮大な物語です。さらに村上春樹ならではのファンタジー的な要素もあるので、舞台化するのであればストーリーを楽しむよりも、芸術性を高めた、幻想的なものになるんだろうなと事前にやんわりと予想しておりました。
まあ、その通りというか、見た目と音楽を前面に出した、とても芸術性の高い舞台でした。僕は村上春樹ファンとして行きましたけど、演出を担当したイスラエルのインバル・ピント(Inbal Pinto)さんの作品を見たいという層も多いようです(Twitterでそんな声が多いです)。
↑インバルさんの振り付けってこんな感じで、ねじまき鳥クロニクルの舞台もこんなダンスが多く出てきます。コンテンポラリーダンスって言うんでしょうか。何回も見ているとクセになりそうな動きです。
すごく全身の筋肉を使うダンスのようで、主演の成河(ソンハ)さんは、引き締まった体をしていました。
『ねじまき鳥クロニクル』①極端なことを言えば題材はなんだっていい。重要なのはインバル・ピントの演出と美術が具現化されることで。それが本当に本当に素晴らしくて、あっという間に、知らない人の夢を鍵穴から覗いているような非現実感に全身がつかっている。あの遠近感と浮遊感は一体なに? pic.twitter.com/ib668TxxBm
— 徳永京子 (@k_tokunaga) 2020年2月22日
↑この人の感想がこの舞台をよく表しています。村上春樹というよりも、春樹の世界観をインバル・ピントさんで表現した、というような舞台です。ストーリーを楽しむというよりも、村上春樹の独特の世界観、台詞に乗せて、インバル・ピントの演出、大友良英さんの音楽に浸る、という楽しみ方が良さそうです。
ねじまき鳥クロニクル、予想していた通り難しい内容ではあったんだけど広大くんが「分かろうとして見なくていい」ってアフトで言ってくれて、ヲタクとしてはすごい安心した~理解する努力はやめないけど、肩の荷が降りるね、、、
— も / か (@5030ocsurt) 2020年2月23日
セリフを聞いて楽しもうというよりも、全体的な空想感、ユラユラ感を味わうという気持ちで見始めるとリラックスして鑑賞することができるはず。
非常に完成度の高い、原作と独特のダンス、そして音楽が融合した素敵な舞台です。舞台にストーリーを求める人には難解な作品になりますが、舞台にダンスや音楽、ステージセットの見せ方に魅力を感じる人には、すごくインパクトがある作品です。
舞台にも色々な見せ方があるんだなと、久しぶりに観劇をして感じた次第です。