KH Chronicle

1975年生まれ。サッカーのことを多めに書いています。医療と経済にも興味があります。

町田対鹿島を見た感想。

町田のサッカーが気になって、開幕のガンバ戦と、鹿島戦の2試合を見ました。普通に強いです、町田ゼルビア。サポーターは今のチームを誇って良いと思います。すごく強い。

ゲームモデル

町田のゲームモデルは簡単に書くと、「如何に相手ゴール前でカオスを起こすか、如何に自陣ゴール前でカオスをなくすか」だと思いました。これでだいたい説明できます。

守り方

町田の守り方は、ハイプレスでもなく、ローブロックでもないミドルブロックです。これ、なぜこの位置でブロックを形成するかというと、自陣ゴール前でカオスを少なくするためです。

ハイプレスだと後ろに広大なスペースができるため、縦ポン一本で自陣ゴール前にカオスが生じます。名古屋・永井のような足の速いストライカーがいると、一気にぶち抜かれる可能性があります。なので、町田はハイプレスはやりません。(ツートップが相手のCBに詰める程度は行きます)

ローブロックは、クロスを入れられることが多いので、自陣ゴール前でカオスが生じます。ここから失点する可能性がある。

町田の守り方はミドルブロックで、ボールホルダーとパスレシーバーに猛然とプレスに行くスタイルです。そして、ここが大事なところなのですが、町田の選手は球際がめちゃくちゃ強いです。専門用語で言うと、デュエルです。イエローも厭わない当たり方で鹿島の選手にぶつかって行きます。

スタッツ(by Sofascore)を見ると、町田と鹿島のデュエル勝利数は、町田が65で鹿島が58です。空中戦デュエルは町田が36で鹿島が21。地上も空中も町田が制しています。

ミドルブロックを形成して、裏への縦パスをするスペースは無くし、ブロックを切り裂いてくるようなパスやドリブルに対しボールを奪っていくスタイルです。町田のゴール前ではほとんど危険なシーンがありませんでした。

如何に相手ゴール前でカオスを起こすか

町田の攻撃は、カウンターとロングスロー、遅行の時はサイド攻撃に分けられます。ボランチや2列目を使って華麗なパスワークで崩すということはしません。

まずカウンターは、ミドルブロックで絡め取ったボールをすぐに前の二人(藤尾、オセフン)に届けます。そして、形勢的にダメだと思っても、二人もしくは三人で攻撃をやり切るようにします。

けっこうカウンターを失敗するシーンを見るのですが、無理だと思っても味方の上がりを待つと言うよりは、相手が整ってないことを優先して、そのまま前に仕掛けるシーンをよく見ました。これは、ゲームモデルの「カオスが起きているかどうか」が大事なのだと思います。

カウンターを失敗するので、鹿島のゴールキックになることが多かったです。ボールポゼッションは鹿島が65%でほとんどボールを握っているにもかかわらず、ゴールキックの数が町田の10に対して鹿島が12というのが、いかに町田が前にパスを出して、ゴールラインを割ってしまったかを示しています。

ロングスロー

今や町田の代名詞になっているロングスロー。高校サッカーじゃねーんだぞという声をSNSで見ますが、ロングスローは普通にどこでもやってますし、最近よく試合を見ているインテルなんかもロングスローでチャンスを作っています。

ロングスローも「ゴール前でカオスを作るか」に沿っています。さすがにスローインでファーサイドに持っていくのは難しいので、ニアにボールを入れ、そこをヘッドで後ろに逸らしゴール前にボールを持って行きます。

ロングスローはコーナーキックと違い、ヘディングで鹿島の選手が跳ね返してもそんなに飛ばないので、町田の選手はペナルティアーク付近で構えていて、シュートに持っていけるように配置されています。

鹿島は、このロングスローに対して、ニアに3人くらい集めてとにかくニアに入ってきたボールに対して町田の選手に触らせないようにしていました。うまく対策していましたが、選手の表情を見ていると相当なストレスなんだなと感じました。

遅攻のサイド攻撃

遅攻になった時、町田は中盤を攻略してボールを運ぶということはしません。ここも徹底してるなと思ったのが、例えば、右サイドハーフの選手に鹿島の選手がマークしている時は、すぐに裏にボールを出します。町田は両ウィングに足の速い選手を揃えており、右はバスケス・バイロン、左に平川です。

なので、遅行の時は、サイドバックの選手が普通に縦ポンで相手サイドバックの裏にボールを出し、それをウィングが回収してすぐにクロスで放り込みます。これも相手ゴール前でカオスを生じさせるというゲームモデルです。むっちゃシンプルです。

町田に移籍した柴戸

浦和サポの私としては、柴戸が町田に移籍すると聞いた時、浦和でそこまで試合に出られていないし、悪くない移籍だなと思っていました。改めて柴戸のプレーを見てみると、町田のゲームモデルにピタリとハマっています。

町田のボランチに求める役割はほぼ「ボールハンター」です。柴戸の長所はまさにそこで、浦和時代でも相手に強く行ってイエローをもらうシーンもありました。まさに相手に強く当たる町田とピッタリフィット。ちゃんと考えて選手取ってるんだなぁと町田のフロントに感心します(当たり前か)。

柴戸、町田で輝けて本当に良かったなと試合見ていて思いました。

まとめ・町田との試合見てみたいチーム

私が町田と鹿島の試合を見ようと思ったのは、屈強な鹿島のCBに対して、屈強な町田の選手はチームとしてどのように攻略するのか興味があったからです。また町田の固い守備陣に対して、鈴木優磨がどのようにアクションするのかも楽しみでした。

今後、町田との試合で見てみたいのは、福岡、新潟、神戸です。浦和はチームとして整っていないので、できるだけ後に当たりたいというのが正直なところ。

新潟はチームとしては中盤をパスワークで崩していくタイプなので、中盤で潰すタイプの町田とどっちが上回るのか楽しみ。福岡は、町田と似ていて守備から作っていくチームなので、どんな展開になるのか気になります。

神戸は、負けず嫌いの大迫が屈強な町田守備陣にどう向かっていくのか見てみたいですね。町田ゼルビア、面白いチームがJ1に上がってきたな、というのが3節終わった時点での感想です。