こういう歴史的な試合を見た後、すごいことをブログに書こうとしても経験上どうもうまく行かないので平常心で書きます。カタールW杯で日本がドイツに勝利した試合のことです。
まさかこんな劇的な逆転勝利になるとは思っていませんでした。いやすみません、実は2%くらいは「やってくれるんじゃね?」と思っていました。なんせ監督はあの森保さんです。
J1で中位の予算であるサンフレッチェ広島で、4年間で3回も優勝した名将の森保監督。私は浦和レッズサポーターとしていつも森保監督の強かな戦い方に舌を巻いていました。あの実直な性格、それでいて戦術のような大事な部分はきちんと扱う(気軽に喋らない)。本当に素晴らしい監督です。
約10年前のザッケローニ時代の日本代表は華がありました。人気も高かったです。しかしながらアジアの予選から本選まで戦い方が同じだったため、対戦相手から研究されてしまいました。それがブラジルW杯で勝てなかった原因の一つだと私は思っています。
対照的に森保ジャパンは地味(失礼)な印象ですが、戦い方に幅があります。アジア最終予選で、遠藤と柴崎のダブルボランチが通用しないとみるや、4−3−3のシステムに変更し、遠藤、田中、守田の中盤に変更しました。そこから最終予選は一気に勝ち点を重ねていきました。
森保監督のカタールワールドカップでの目標はベスト8です。アジア予選突破ではありません。この賢い監督であれば、アジア最終予選と同じ戦い方で通用しないだろう、対策されるだろうと考えてそれに何か手は打ってくるだろうとは考えていました。
しかし、まさかドイツ戦の後半、あんなプランを披露してくれるとは完全に私の想像の上を行かれてしまいました。
この試合の直前、NHKが森保ジャパンの特集をしてくれました。
(11月27日まで見逃し配信で視聴できます)
これを見ると、森保ジャパンは前田大然を起用して前からプレスをかけて相手の守備が整わない間にゴールを決めてしまうプランだろうとわかります。イギリスのアナリストにも取材をして、データを駆使した非常にいい番組でした。だから大迫はメンバーに選ばれなかったのであり、森保監督はそういう戦術を本戦でやってくるのだろうと思いました。
そしてドイツ戦の前半。一応(と言ってもいいレベル)、前田大然は前からプレスをかけるのですが、やや中途半端。私は何より気になったのは左CBのシュロッターベックがボールを持った時は誰もプレスをかけずにあえてボールを持たせているのだろうと、そこがやたらと気になりました。同様の意見をTwitterでも見ました。
日本の仕込みってシュロッターベックを放置だけど、そこからどうするの?がないまま崩されて終わったけど、なんだったのだろうか。誰か教えてちょ。
— らいかーると (@qwertyuiiopasd) 2022年11月23日
うーむ、なぜシュロッターベックにボールを持たしていたのか、試合後の今になってもずっと謎のままです。ま、それは置いておいて。中途半端に前からプレスをかけてもキミッヒとギュンドアンの中盤でするりと躱され、特に左サイドから崩されていた印象でした。日本はそれでもよく守っていましたが、PKを取られ先制点を献上します。
前半が終わった時に、私はおそらく後半はメンバーを少し変えて立て直していくのだろうなとは思っていました。名前を挙げると久保くんがあまり効果的ではないと思っていたので、そこを変えてくるだろうというところまでは予想できたのです。しかし、まさか久保くんの代わりにと、冨安を入れて3バックに変更するなんて全く予想できませんでした!
本戦の直前にカナダとやった時、少しだけ3バックを試しました。その時のメンツは板倉、谷口、伊藤洋輝だったと思います。今思うと完全に隠していましたね。冨安の怪我の状況ももしかするとドイツ戦のこの3バックに意外性を出すためのコントロールだったのではないかと思うくらいです。まさか板倉、吉田、冨安の3バックとは!このメンツって正直なところ、世界に伍するレベルじゃないですか。
私は冨安が左サイドに入って長友がより上がれる体制になったことを喜びました。これはすごい隠し球があったな!という気持ちでした。しかしさらに森保監督はそこから立て続けに仕掛けていきます。
長友→三笘、前田→浅野、田中→堂安、酒井→南野。これがわずか後半57分から75分までの18分間で完結されます。ものすごく思い切りが良く、見ている側からすると「これはプランとしてあったのではないか」と勘繰ってしまうくらいの思い切りの良さでした。特に田中→堂安、酒井→南野の交代は、事前に考えておかないと思い浮かばないのではないか。
つまり、3バックにして最終的に伊東純也と三笘をWBとして使う案です。これって今まで1回も見たことないですよね。なんだこの変化は。ワクワクが止まりません。
ドイツは、こんな日本見たことないよと言わんばかりに対応が後手後手となり、色々選手を投入してきますが効果なし。試合前から評判を聞いていたムシアラやニャブリにもほとんど仕事をさせない素晴らしさ。私はバックスタンドの上の方で観戦をしていたので森保監督の表情は見えませんでした。しかし、明らかにこれは森保監督が「してやったり」の顔をしているのがわかる試合内容でした。
1点目は三笘から仕掛けて南野→堂安で押し込む、2点目はかなりシンプルに板倉からロングボールを浅野に送り、そのままぶち込む。2点目はドイツからすると「献上してはいけない得点だった。」とコメントもあるくらいシンプルにゴールできました。浅野は、日本代表の選手としてはずっと批判されてきましたが、この逆転弾で全て晴らしました。
私は、バックスタンド上の方で観戦をしておりました。周りは日本人が多かったので、肩を叩き合って喜びました。みんな泣き叫んでいました。それくらい歴史的な勝利でした。初めての現地観戦がこんな歴史的な勝利になるとは・・。カタールに行かせてくれた妻に感謝感謝です。ありがとう!