ビジネス本の売り上げランキングにも入っているファクトフルネスを読了しました。内容的には、「世間の声に惑わされず、きちんとデータを読み込み、正確に物事を見るようにしよう」というものでした。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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作者は、ハンス・ロスリングというスウェーデンのお医者さんです。この本が入稿される直前にすい臓がんで亡くなられました。息子のオーラさんとその奥さんのアンナさんでこの本は仕上げられました。
ハンスさんは、お医者さんであると同時に大学で統計学も学ばれていたので、データにも精通しています。そこで、「きちんとデータを見る」ということが意識されているようです。
世界の全人口の 85%は、以前「先進国」と名付けられた枠の中に入っており、残りの 15%のほとんどは2つの枠のあいだにいる。いまだに「途上国」と名付けられた枠内にいるのは、全人口の6%、たった 13 カ国だけ
人は、先進国と途上国の2つに世界を分けたがるが、今は、それほど真っ二つに分けることはできないことを本書では述べています。作者は、4つに分けると良いだろうと書いています。
レベル1(貧困層)の生活は、こんな風です。
レベル1のスタートは1日1ドルから。5人の子供が、一家にひとつしかないプラスチックのバケツを抱え、裸足で数時間かけて歩き、ぬかるみに溜まった泥水を汲んでくる。帰り道で拾った薪で火を焚き、泥混じりのポリッジ(粥)を調理する。生まれてこのかた、口にしたことがあるのはこの粥だけ。
それが、レベル2になるとこんな風な生活になります。
ついにレベルアップ! 1日の稼ぎは以前の4倍、4ドルになった。毎日3ドルもおカネが余る。さて、何に使おうか? 自分で育てた作物以外にも、たとえば鶏を飼って卵を食べることもできる。少しおカネを貯めれば、子供たちにサンダルも買える。
レベル1は、世帯の1日の収入が約1ドルの世界です。それが、レベル2になると4ドルに増えます。そして、レベル3になると次のような生活に。
すごい、またレベルアップ! 仕事を掛け持ち、毎日休みなく 16 時間働いて、1日の収入がまた4倍の 16 ドルになった。手元のお金も増えたところで、水道管を引いてみた。これで水を汲んでこなくてもいい。電力の供給も安定し、子供も毎日宿題ができるようになり、買いたての冷蔵庫も安定して使えるように。食料を保存できるようになり、毎日違うごちそうが食べられる。
そして最高レベルの4になるとこんな生活です。日本人は概ねこれに当てはまります。
収入は1日 32 ドルになり、もはや裕福な消費者だ。1日3ドル余分に稼いでも暮らしに大差はない。極度の貧困に暮らす人たちにとっては、1日3ドルの違いが人生を左右するが、レベル4にいる人はむしろ、3ドルなんてはした金だと思っている。学校には 12 年以上通い、旅行のときは飛行機に乗る。
世界人口の比率は、レベル1から順に1:3:2:1だそうです。もう最貧困層(レベル1)というのは、それほど多くありません。
先進国以外の、多くの国がレベル1だという認識はやめた方がいいと本書では書かれています。
上の話は、この本の冒頭に出てきます。このファクトフルネスを如実に表す好例として書かれています。このように、「きちんとデータを見ると、本当の姿が見えてくる」ということを人は意識した方がいいと作者は述べています。
巻末には、多くのデータ引用元が記載されており、「こういうデータはこんなところにあるんだよ」と教えてくれています。
サッカーにも言える
この本を読んで再認識したと言うか、僕はサッカーを見るときに出来るだけ自分で考えて、なぜその事象になったのか、なぜその監督はその選手を使ったのか、という問いに答えを出すようにしています。
記者が書いているニュースもなるほどと思うこともありますが、「本当にそうかなぁ」なんて自分で掘り下げて考えてみる。今回の「ファクトフルネス」は、その考えを後押ししてくれるいい本だと思いました。