KH Chronicle

1975年生まれ。サッカーのことを多めに書いています。医療と経済にも興味があります。

【Book】サピエンス全史(まだ途中)

サピエンス全史、相変わらず読んでいます。なかなか分厚い本ですので、読み始めてから3週間ほど経ってますね。Kindleで読んでおりまして、ようやく後10%くらいになりました。初めは、慣れないサピエンスの説明からでしたが、後半に入ってくると、かなり面白くなってきます。

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

 

 

その後半の面白さも、やはり少し退屈な前半を読んでいると面白さが増してきます。後半だけでもそれなりに面白いですが、やはり前半の件を読んでいると、話に厚みが出てきますね。いくつか引用してみます。

過去五〇〇年間に、人間の力は前例のない驚くべき発展を見せた。一五〇〇年には、全世界にホモ・サピエンスはおよそ五億人いた。今日、その数は七〇億に達する(1)。一五〇〇年に人類によって生み出された財とサービスの総価値は、今日のお金に換算して、二五〇〇億ドルと推定される(2)。今日、人類が一年間に生み出す価値は、六〇兆ドルに近い(3)。一五〇〇年には人類は一日当たりおよそ一三兆カロリーのエネルギーを消費していた。今日、私たちは一日当たり一五〇〇兆カロリーを消費している(4)(これらの数字を見直してほしい。私たちの人口は一四倍、生産量は二四〇倍、エネルギー消費量は一一五倍に増えたのだ)。

 

西暦1500年くらいまでは、サピエンスの発展はゆっくりとしてものだとこの本は言っています。ここ500年くらいで急激に発展を遂げています。上の引用は、それがどれくらいのインパクトかと言うことを示しています。一つ一つの数字に説得力があります。

グローバルなパイが拡大するに違いないという信念は、最終的に社会に革命的な変化をもたらした。一七七六年、スコットランド生まれの経済学者アダム・スミスが『国富論』(大河内一男監訳、玉野井芳郎・田添京二・大河内暁男訳、中央公論新社、二〇一〇年、他)を出版した。『国富論』は、おそらく歴史上最も重要な経済学の声明書と呼んでもいいだろう。第1編第8章でスミスは次のような、当時としては斬新な議論を展開している。すなわち、地主にせよ、あるいは織工、靴職人にせよ、家族を養うために必要な分を超える利益を得た者は、そのお金を使って前より多くの下働きの使用人や職人を雇い、利益をさらに増やそうとする。利益が増えるほど、雇える人数も増える。したがって、個人起業家の利益が増すことが、全体の富の増加と繁栄の基本であるということになる。


アダム・スミスの「国富論」は、今でこそ当たり前のことが書いてあるが、非常にサピエンスの歴史にとって重要な経済学の本であるとこの本では述べられています。私は国富論は読んだことがありませんが、国富論の前と後ろでは、経済の伸び率がとてつもなく違うことが示されています。

 

一六世紀から一九世紀まで、約一〇〇〇万のアフリカ人が奴隷としてアメリカに連れてこられた。その七割ほどがサトウキビのプランテーションで働いた。労働条件は劣悪だった。ほとんどの奴隷の一生は短く、惨めで、奴隷を捕まえるための戦争やアフリカ内陸部からアメリカに到着するまでの長旅で命を落とす者も多数いた。それもこれも、すべてはヨーロッパ人が甘い紅茶と菓子を楽しむため、そして砂糖王たちが莫大な利益を享受するためだった。

 

コロンブスが米国大陸を発見し、サトウキビが米国で栽培されるようになってから、砂糖の価格が非常にこなれたものになったとこの本には書かれています。しかし、そこにはアフリカから連れてこられた奴隷が犠牲になっているとも書かれています。

長くなりそうなので、引用はここまでにしておきますが、情報量と視点の多様性がこの本にはあります。分厚い本ですが、決して冗長な中身ではなくて、とても重要なデータがたくさん出てきて、面白いたとえ話が出てきます。

示唆に富んだ、非常に面白い本です。分厚いし、ハードカバーなので、通勤で読むならKindle版をお勧めします。とても軽くて読みやすいですよ。読み終わったらもう一度感想を書きます。