KH Chronicle

1975年生まれ。サッカーのことを多めに書いています。医療と経済にも興味があります。

【book】知的生産の技術

去年お亡くなりになった京都大学名誉教授、梅棹忠夫さんの「知的生産の技術」という本を読んでみました。

知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)


僕は梅棹さんの名前は、亡くなった時に初めて知りました。新聞に簡単な経歴が書いてあったのですが、その中に「“知的生産の技術”は1969年の著書であるが、今でも売れている。」という文章を読んで興味が湧いてきたのでした。アマゾンでは、非常に好評価ですね。

ちなみにWikipediaでは、梅棹さんは以下のように書かれています。

日本における文化人類学のパイオニアであり、梅棹文明学とも称されるユニークな文明論を展開し、多方面に多くの影響を与えている人物。京大では今西錦司門下の一人。生態学が出発点であったが、動物社会学を経て民族学(文化人類学)、比較文明論に研究の中心を移す。

Wikipedia

読んでみた感想ですが、「これは40年前に書かれたライフハック本だな。」と思いました。自分の考えをどのように記録し、整理し、活用するか。ツールの違いはあれど、「ライフハッカー」などのジャンルです。ただ、大学教授が書いてあるだけあって、思想的な記述もあります。単純にライフハック本と言い切れるわけではありません。だから長い年月が経っても売れるのかも。

前半の「何でもカードでメモすると良い。」というのはこの本のポイントらしいのですが、あまり僕には響いてきませんでした。カードを作るんだったら、今の時代、PCで管理するかなと思いました(アマゾンでは絶賛されてましたけど)。レオナルド・ダ・ビンチがメモ魔だったというのは初めて知ったなぁ。

でもPCで管理するよりも、実際に手で書いたり、マインドマップのような図式にしたりするのも言葉で表現できない効果がありそうですよね。PCは、キーボードを「打つ」だけですが、手書きは実際に「書く」ので、同じ文章を作るにしても効果は違うと本書にも書いてありました。確かにそうだ。

後半の読書のところは、いろいろと「へ〜。」と思うところがありました。

  • 本は少しずつ読むより一気に読んだ方がよい
  • 拾い読みするよりも、始めから最後まで読んだ方がよい
  • 2度、3度と同じ本を読んだ方がよい

というようなことが書いてありました。あと、梅棹さんは読書の感想などに引用はあまり多く使わないそうなんですが、それにも理由がありました。「自分の考えでモノを述べよ。」ということを言ってるんだと思います。なるほどな、と。

個人的に、この本を読んでいて思ったのですが、梅棹さんはとても新しもの好きなんだろうな。日本で使われ始めたばかりのタイプライターを使っていたり、文房具をいろいろ使ってみたり、「どうすれば効率よく情報を活用できるか。」というのを突き詰めています。すごいなと思いました。

梅棹さんとの接点は、今まで全然ありませんでしたが、好奇心旺盛で几帳面な人なのかなぁという印象ですね。講演とか聞いてみたかったなぁ。良い本だと思います。