森友学園のニュースがいよいよ佳境に入ってきたなぁと感じる今日この頃。2012年暮れから続いている安倍政権が揺らいでいます。ドイツの政権が少し落ち着いてきたかなと思いましたが、日本が今度は少し不安定になっていますね。さてどうなりますやら。
百田尚樹さんの「戦争と平和」を読みました。タイトルの通り、改憲派の人の気持ちがよくわかる本です。改憲派と言えば安倍首相と言うことで、出だしに政治のことを書いたのでした。
百田さんは皆さんもご存じの通り、「永遠のゼロ」が売れた作家です。この「戦争と平和」には、なぜ百田さんが「永遠のゼロ」を書こうと思ったか、永遠のゼロを書くに当たって様々な取材、調査をする上で、勉強になったことが書かれています。
筆者の戦争に対する知識量が半端なく、「へー、そうだったんだ!」と言う情報がたくさん出てきます。そしてなぜ集団的自衛権が良いのか、なぜ改憲した方が良いのか、論理立てて書かれています。
僕は、なぜ自民党が改憲をしたいのかよくわからなかったのですが、この本を読むと改憲、特に憲法9条を改めたいという論理がすごくよくわかります。例えば、スイスは永世中立国で、アルプスの少女ハイジを連想させるようなほのぼのした印象がありますが、結構強力な軍隊を持っています。
スイスの人口は800万人ほどですが、日本の自衛隊と同じくらいの人員がいます。20万人ちょっとです。日本の人口が1億2000万人ほどですので、かなりの人数を軍隊に割いています。少しでもスイスに害を及ぼすような外部からの軍事行動が取られると、スイスは報復措置を執ります。このようにして永世中立国を守ってきたとこの本には書かれています。その逆としてルクセンブルクの例を挙げているのもすごくわかりやすかった。
しかも日本と違うのは、自衛隊は専守防衛ですので相手の攻撃を確認してから応戦することが決まっていますが、スイスの軍隊はもっと決断が早いです。その辺りの自衛隊のもどかしさがこの本にはかなり書いてあります。そして憲法9条が如何に役に立たないものかもがっつり書いてあります。決してテレビには出てこないお話です。
百田さんは大阪出身で、歯に衣着せぬタイプの人だと思いますが、この本ではむしろズバッと言ってくれているのでとても改憲派の人の言い分がわかります。ただ、護憲派の人のことをあまりにも切り捨てているので、もう少しそちらの言い分も書いて欲しかったなと思います(書いているのですが、ほとんど論理がないと一刀両断にされています)。
これだけ改憲のことについてオープンに書かれている本は読んだことがなかったです。森友学園で安倍政権がどうなるかわかりませんが、なんとか凌いだ時には改憲の話もまた出てくると思います。この本を読んでいれば、改憲の背景がつかめていいのではないかと思います。今度は護憲派の本も読んでみたいです。