この本、とてもお勧めです。中東に興味のある人は、すぐに読んだ方が良いです。私は、伊藤洋一さんがラジオでこの本を薦めていたので読んでみました。作者の高橋和夫さんという人は、私は知らなかったのですが、日本でも指折りの中東通の人のようです。
中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌 (NHK出版新書)
- 作者: 高橋和夫
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2016/06/09
- メディア: 新書
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この本を読んでいて印象に残ったのが、
- 中東で国家と呼べるのはイラン、エジプト、トルコの3つだけで、他の国々はいわゆる「国もどき」だ
- ペルシャ語とアラビア語は、見た目は似ているが、日本語と中国語のような関係で、お互いの読解は困難
- イランのGDPはタイと同じくらいで、経済制裁がとかれた今後は、大きく成長するポテンシャルを含んでいる
- 国もどきが多いのは、第1次世界大戦の後にイギリスとフランスが国境を作ってしまったから。サウジアラビアなどの不自然にまっすぐな国境はこれが原因。
というところでしょうか。この本のおかげで、イラン、エジプト、トルコの見方が変わりました。加えてサウジアラビアが如何に石油産業に頼っていて、とりあえずその恩恵のおかげで国が成り立っているが、国民のまとまりはあまりないというところが、とても強烈でした。
また、イスラム国(IS)にも多くの記述があり、どのように米国やロシア、トルコなどがこれらを鎮圧しているか、具体的な兵器についても触れて説明してあります。どんだけ中東に詳しいんだという突っ込みを何度も読んでいる最中に感じました。
高橋さんの著書は他にも読んでみたいと思います。文章もわかりやすくて読みやすいです。しかし、今さらながら、もっと高校生の時に世界史に取り組んでおけばよかったなぁと思います。