KH Chronicle

1975年生まれ。サッカーのことを多めに書いています。医療と経済にも興味があります。

20141219 野村IR(個人投資家イベント)

12月17日に東京国際フォーラムで開催されていた、野村IRに行ってきました。野村IRというのは、東証IR、日経IRと並んで、日本の3大IRイベントと呼ばれるものです。主に個人投資家向けに開催されていて、上場している企業や、金融機関がブースを出して金融商品事業内容を教えてくれます。

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場内をぐるぐる回っていると、必ずどこかのブースが説明会を始めています。聞いた順番にブログに書いておきます。やっぱり企業の生の声が聞けるイベントはいいですよね。

7240 NOK

ここは説明が非常にわかりやすくて明快でした。2つ、事業に柱があって、一つは自動車の「シール」という部品で業界のシェアが高いこと(68%)。シールというのは、オイルがこぼれないようにする部品で、密閉性が高いものでなくてはいけません。もう一つは、FPCというフィルム状の回路を開発していて、ロボットの関節などに使われます。水素自動車にもシールを開発していて、液体のオイルよりも気体の水素を密封する方が難しいため、より高い技術が必要。普通の自動車でシールが1台につき約200個使われているのに対し、水素自動車では数百個使われます。

6257 藤商事

パチンコ台を売っている会社。説明の途中から聞き始めたので、具体的な内容はあまりわからなかったのですが、シェアが現在5番くらいなのを将来的には1~2番を狙っていきたいというようなことを言っていました。

ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメント

リートについて説明を受けました。
  • リート市場のシェアは、アメリカが63.5%に対し、日本は6.8%。
  • グローバルリート、特にアメリカのパフォーマンスが今は良い
  • 金利が急に上がるとリートにはマイナスだが、ゆっくり上がるのはリートにはプラス

そして、予約していた講演会、野村證券チーフエコノミストの木下智夫さんの話を聞きました。メモしたことを記しておきます。念のため書いておきますが、「だいたいそういうこと言っていた。」くらいで受け止めてもらえるとありがたいです。

原油価格について
→日本は純輸入国なので経済にはとてもプラス。GDPで1%くらい改善。5〜6兆円規模の減税同じような効果。

アメリカの消費が上向いており、周辺国、特にメキシコブラジルの景気は上がっていくだろう。住宅ローンや家計の債務残高を見てみると、緩やかに上昇しており、消費にプラスである。アメリカの住宅着戸個数は、現在で日本と同数。もっと増えるだろう。

アメリカの失業率は、リーマン時に9%だったのが、2014年では6%に改善。QE3もほぼ終わり、インフレをさけるために2015年の7〜9月期に金利を上げるのではないか。

欧州についてはあまり良くない。ユーロ18カ国で、スペインやギリシャポルトガルなどでデフレに入っている。ECBは1〜3月期で国債を買うと言っている。しかし、ドイツが法律で財政赤字にブレーキをかけるようになっている。結果的に、アメリカは金融緩和縮小だが、日本、ヨーロッパは緩和し続けるだろう。

アジアは、アメリカが良いのでアジアの調子も良くなってきた。インド、フィリピン、タイは原油価格下落で景気は上向き。インドネシア、マレーシアは原油価格下落で景気下向き。中国は、7〜8%の経済成長は難しいが、困ったときには政府が動いてくれる。

今では、日本の2倍もの経済規模である(1ドル=118円で)。投資としては無視できない。経済見通しとしては、2015年で6.8%、2016年に6.5%程度であろう。経済成長が早まると人件費が高騰するため、政府としては7%程度がちょうど良いと考えている。

現在、中国株が大きく上昇しているが、これは個人投資家が買っている。

世界経済のまとめとしては、それほど悪くない、と言うこと。


日本について

選挙が終わってすぐに社会保障費の削減を発表した。選挙前にはほとんど言ってなかったが、これは日本の課題としてはしょうがない。一番重要なのが、TPP。アメリカの中間選挙後に、それまで強硬だったアメリカの態度がほぐれてきた。

ワシントンに行ったときに、アメリカとしては日本とのTPPは重要だと言っているのを聞いた。ただ、自動車産業が盛んなミシガン州辺りはTPPに反対な人が多い。アメリカの政権が民主党から共和党になると、よりTPPに積極的になる。

日本は農業で譲歩しなければいけないが、日本の強みは豊富にあるので、その部分で有利に話を進めていければ良い。2015年の半ばには、TPPに関して明らかになってくるだろう。今年の6月に規制緩和の話があったが、あまり進んでいない。

これからの経済政策は予算関係がほとんど。おそらく2015年4月以降に成長戦略(第3の矢)が動きそう。集団的自衛権などの憲法改正は、支持率が落ちるので2016年の参院選までは動きそうにない。

日本の景気について、GDPが7〜9月でマイナス。私(木下さん)としてはまさかマイナスになるとは思っていなかった。ここは反省したい。ポイントは在庫の動きで、4〜6月は売れ残りで在庫が増え、7〜9月はこの在庫を減らした。設備投資も、修繕など最低限のことには使うが、生産性を上げるような投資は少なかった。

小売売上高について、百貨店からスーパー、商店までの数字であるが、消費税の影響はあるが、1997年の消費税アップ時よりも悪くないのではないか。景気の落ち込みは、1997年と2014年で比較したとき、ほとんど変わっていない。1997年が3%から5%で2%アップだったのに対して、今回は3%アップ。1%の違いは大きいにも関わらず、景気の落ち込みは変わらない。

消費が弱いとよく言われるが、首都圏と地方で格差が生まれている。首都圏は元々稼いでいる人が多いのと、車よりも電車を利用する人が多いのでガソリン価格の影響をそれほど受けない。

法人の設備投資について、実は大企業の設備投資は増えていない。中小は増えている。日銀の短観では、大企業の8.9%が設備投資を増やすと言っている。日銀短観は、エコノミストの中でも重視する人が多い。シンクタンクがアンケートをとっても答えてくれる会社は半分くらいだが、日銀のアンケートには97%の企業が回答する。この差は大きい。

設備投資を増やす理由は、業績が改善していることが挙げられる。しかし、修繕のような最低限の投資がまだ多いので、これから生産性を上げるような投資が増えると良いだろう。

現状、人手不足が叫ばれているが、これはずっと続くだろう。一人一人の生産性を上げなければいけない。少子高齢化をポジティブに受け止めて、如何に生産性を上げるかを考えなければいけない。円安になって、日本の製品が買いやすくなった。これから輸出はもっと増えていくだろう。金属、化学、一般機械、電気機器、輸送機器が日本の輸出8割。

インフレについて、コアCPIが下がっている。原油価格が1バレル60円くらいだとすると、物価の上昇率は0.5%くらいになる。日銀は快く思っていない。しばらくないと思うが、金融緩和をもう一度くらいはするかも知れない。2015年度中に物価上昇2%目標としているので、緩和をするのであれば、2015年9月くらいだろう。もしくは、2%目標を「中長期で」と長い設定にするかも知れない。

以上、講演会リポート。


4719 アルファシステムズ

通信ソフトウェアからスタート。武蔵小杉に会社がある。電話や通信のソフトウェアを手がけている。うちの会社は、社員の90%がエンジニアで外注率が抜群に少ない(8.4%で、競合会社は30〜40%)。外注率が少ないと言うことは、技術のノウハウがたまると言うこと。財務体質も良い。

2925 ピックルズコーポレーション

埼玉に本社がある。「ご飯がススム」で有名。内容量をあえて200gにしたのがポイント。他は300〜400g入っているが、200gがちょうど良い家族が多いようで、好評。あと、それほど辛くなく、甘みが多いのも特徴。セブンイレブンは1970代から付き合いがあり、ともに成長してきた。

今の強みはスーパーに出荷している総菜。ドレッシングの味が好評で、これを求めて総菜を買う人もいる。今後もスーパーの総菜に力を入れたい。

★行ってみた感想★

熱気に溢れていて、四季報では伝わらない会社の良さを教えてもらいました。今後も出来るだけIRイベントに参加したいです。ピックルスコーポレーションは、ほどよく力が抜けていて個人的に好きですね。