昨日の鹿島戦は悔しかったですね。金崎のゴールは、森脇に当たって方向が変わりネットを揺らすという不運なものでした。前半でこのようなゴールが生まれ、相手が鹿島となるとなかなか難しい試合になります。
試合を通して、8割くらいは相手陣内でゲームが進んでいたのではないかと思います。鹿島戦ではよくあるのですが、ああいった不運な形で先に失点してしまうと、その後のゲーム展開は難しくなります。 ただ、決して悪い戦いではなかったと、私は思っています。チャンスもいくつかあったと思いますし、もう少し判断がよければ、もう少し精度があれば、決定的なチャンスにつながったシーンも作れていたと思います。
ミシャ監督 鹿島戦試合後会見|URAWA RED DIAMONDS OFFICIAL WEBSITE
ところで、後半駒井が投入され、代わりにベンチに下がったのは青木でした。駒井と言えば、関根か、宇賀神のポジションが得意とするところですが、交代したのはボランチポジションの青木です。
以前から駒井をボランチで使うシーンは見られました。チャンピオンズリーグのソウル戦で使われたのははっきりと覚えています。しかし、あの時は勝ち試合で、ある意味「お試し」で駒井をボランチに使ってみた感もありました。
今回は、負けると首位が入れ替わる大事な試合で、そして1点ビハインドの状況です。駒井をボランチで入れたのは、相当な意思が感じられます。前日の練習で、興梠、ラファを2トップにして駒井をトップ下に使うというのを試していたようですが、そういうのともまた違うように感じられました。では、駒井を入れたのはどういう意味があったのでしょうか?
ミシャがCSを教訓にして設計したのに、見事に那須が台無しにしてくれたわ。ロンボの頂点に入って受けた時は3回とも全部チャンスになってたし。2-1-2-5でやってるのに、GKがボール保持してボランチ2枚が相手2トップ引き連れてるのに、ボランチ越えなくて、何度イライラさせられたことか。
— paixao@CL2017遠征貯金中! (@urawa_paixao) 2017年5月4日
この人のTweetは参考になりました。真意はミシャ監督しか知らないですが、想像してみます。まず、今回の鹿島戦は、最終ラインで那須と阿部ちゃん(あるいは青木)がボールを保持しているときにパスが出せず、西川に渋々バックパスというシーンが何度かありました。
これは、鹿島のツートップ、金崎とペドロジュニオールの守備がよくて、パスコースを消しながら最終ラインにプレッシャーをかけるのがとても上手なのです。また、テレビ画面には映りませんが、小笠原とレオシルバのボランチコンビがきちんと中盤のパスコースも消しているのだと思います。
で、面白い事例なのですが、那須がドリブルすると誰もプレッシャーに行かず、するするとオーバーラップできるシーンが2度ありました。確か2度です(3度かも)。これは、那須がそんなオーバーラップをするなんて、鹿島は想定しておらず、「え?誰が那須さんをつぶしに行くの?」という疑問が鹿島の選手にはあったと思います。あるいは、那須のオーバーラップはそれほど怖くないとみて、そのまま放っておいたか。
駒井が投入されたときに、駒井はまず森脇に耳打ちしに行きました。それ以降、森脇はまったく上がらなくなりました。そして森脇と阿部ちゃん、西川が最終ラインでボールを回す状態になりました。
図にすると上のようになります。金崎とペドロジュニオールが阿部ちゃんと森脇を見て、小笠原、レオシルバが駒井と宇賀神を見ます。宇賀神と槙野のポジションはかなり流動的です。長いこと二人で左サイドをやっているので、あうんの呼吸があるのだと思います。
そうすると那須がぽつんと「浮き」ます。いわゆるリベロのポジションで、ここでボールを持つと非常にドリブルで上がりやすくなります。鹿島はトップの二人、ボランチの二人もそこまでカバーするのは難しいです。
上の人のTweetは、那須のことを「ロンボの頂点」と書いています。ロンボとはイタリア語で「ひし形」の意味です。おそらく「西川ー阿部ー森脇ー那須」の4人でひし形ができているので、その頂点という意味で、ロンボの頂点に那須という表現になっているのでしょう。
那須がオーバーラップして、駒井を追い越していくような動きを取れば、小笠原やレオシルバが寄ってこなければいけなくなり、そうすると駒井や宇賀神のマークが外れます。駒井が投入された意味というのは、青木よりも前への推進力が高いため、那須からパスが回って来たときに、より前線への圧力を高める効果を狙っているのだと思います。
まあ、サッカーは人によって解釈はそれぞれだと思いますので、上の文章はあくまで参考程度です。那須のオーバーラップが思いのほかよかったので、ミシャ監督はそこから崩したかったんじゃないかなと思った次第でした。