宮下奈都さんの「羊と鋼の森」という小説を読みました。電車の中で何度も涙が出そうになり、そのたびにこらえるのに大変だった本です。ピアノの調律師が主人公の文体が優しい物語です。
羊と鋼というのは、ピアノのハンマー(鋼)とそれをとりまくフェルト(羊の毛でできている)です。森というのは小説の中で何度も出てくるキーワードで、ピアノの材質に使われている木材を表している場合もあれば、主人公が調律という答えのない仕事を、森に例えている場合もあります。
文章の雰囲気は、少し村上春樹に重なると思いました。読んでいて、文章自体が心地いい作品です。物語も全体的に優しい文章で読んでいて穏やかな気分になります。仕事前の電車の中で読むと、鎮静剤のようになるかも知れないです。どちらかというと、仕事終わりの電車の中で落ち着いて読むのが良いと思います。
今年の本屋大賞を受賞しています。僕にはとても良い本でした。宮下さんの他の作品も読みたくなりますね。