なぜこのタイミングで三島由紀夫?と思われるかもしれませんが、読了しました。彼が割腹自殺する前の、4部作の1つです。
内容を簡単に説明しますと、恋愛ロマンスものです。1969年に出版された作品で、時代設定は大正初期。主人公の男女(清顕と聡子)は明治時代の名残がある貴族の系譜です。
聡子は、皇族からの結婚の申し込み(勅許)があり、清顕と惹かれ合う仲ながらも、勅許前の清顕の優柔不断な対応ですれ違いが起きます。
皇族と聡子の結婚が決まってからの清顕の怒涛の行動は、読んでいて楽しかったです。極上のエンターテイメントでした。
なぜこのタイミングで三島由紀夫?
会社で、自分が村上春樹の読者だと語ったところ、村上春樹が好きな人は三島由紀夫も好きなことが多いと聞いて、少し興味が湧きました。
今回の「春の海」を読んだ感想ですが、そんなに村上春樹に似ているかなぁと、いや似てないだろうと思った次第です。
「春の海」は、直球ストレート勝負な恋愛小説であり、「遊びの部分」が少なかったように思います。村上春樹は、割と文章で遊んでるなぁと感じる部分がよくあり、そこに違いを感じましたね。
三島由紀夫の凄いところは、情景の描画力、物事の知識力です。特に描画力は、「The 文学!」と感じるくらいにきちんと描かれています。春の雪、というタイトルも描画力から来ている言葉です。
少し間をおいて、他の三島作品も読んでみます。もう一度書いておきますけど、村上春樹とは似てないと思いました。似ているという人に、教えを乞いたいくらいです。