武田が、2.2兆円の社債発行というニュースを読みました。今は金利が低いので、融資分を社債発行して返済するというのは、ソフトバンク見ているとよくやってます。ただ、今回は額が大きい。
武田はまず米JPモルガン・チェースを中核とする銀行団から最大308億ドル(約3兆3600億円)のつなぎ資金を借り入れる。買収の完了後には長期間の安定した資金に切り替える計画だ。そのうち150億ドル程度をドル建ての普通社債とし、約45億ドル分を資本に一部組み入れられる円建ての劣後債とする見通し。金融機関と発行の条件など詳細を詰める。これとは別に4兆円規模の新株発行も予定している。武田、社債最大2.2兆円発行へ 日本企業で最大: 日本経済新聞
今回の買収額は、7兆円近い規模です。複数のメガバンクなどから融資をしてもらい、7兆円の半分くらいを出してもらいます。残りは、武田の新規発行株と交換することになります。
つまりは、銀行からの融資と自社の株式で7兆円を捻出します。
上の日経のニュースは、銀行の融資をどうやって返済するか、ということです。2.2兆円の社債を発行して、融資分を返済するスキームです。
なぜ社債を発行すると良いのか?
社債発行しても、結局は返済しなきゃいけないんじゃないの?と思いますが、社債は銀行を通さずに自分で債権を発行するので金利が安く抑えられるはずです(会社の格付けが低いと金利が高くなります)。まず、この金利差だけでも大きなメリットです。
それから、銀行の融資は返済日を銀行に決められますが、社債は償還日を自分で決められますので、余裕のある返済をすることが可能のようです。
上記の2点が、社債発行のメリットです。
社債の内訳
150億ドルが、ドル建ての普通社債。約45億ドル分を円建ての劣後債にします。この劣後債の一部は資本に組み入れられる仕組みになります。
ドル建てにするのは、海外からも社債を買ってもらいたいから。
よくわからないのは、資本に一部組み入れられる劣後債です。それって転換社債(CB)じゃないの?と思います。日経の記者さん、もうちょっとわかりやすく書いて欲しいです。
劣後債については、引用します。
一般無担保社債と比べて、元本および利息の支払い順位の低い社債を劣後債ないし劣後社債(またはシニア債に対しジュニア債)と呼ぶ。債務不履行のリスクが大きい分、利回りは相対的に高く設定されている。野村證券 | 劣後債(証券用語解説集)
劣後債というのは、支払い順位が低い代わりに、金利が高い債権のことです。
武田が約45億ドル分の円建て劣後債を発行というのは、おそらく日本の銀行に買ってもらう社債なんじゃないかなーと推測します。劣後債は、金利が高いですから、銀行に儲けてもらおうという算段です。
で、これが一部資本に組み入れられると。ここが本当によくわからないです。仮に銀行が劣後債を買うとすると、ゆくゆくは武田に出資ということになると思うんですよね。株の持ち合いになるわけです。
新規株式増える?
さらにいうと、一部資本に組み入れられるということは、新規株式が増えるということでしょうか。その部分はこれから話を詰めていくんでしょうね。
投資銀行の人たちが算盤弾いてこういうスキームになっていると思うので、きちんと銀行にも利益還元出来るように作っていると思うんですよね。見守ってみます。