KH Chronicle

1975年生まれ。サッカーのことを多めに書いています。医療と経済にも興味があります。

川淵三郎さんが書いた「黙ってられるか」。本当に黙っていない本でした。

Jリーグの初代チェアマン・川淵三郎さんが書いた「黙ってられるか」という本を読みました。初めの方は、それほどでもなかったですけど、だんだん筆が滑らかになってきて、読んでて面白かったです。

 

黙ってられるか (新潮新書)

黙ってられるか (新潮新書)

 

 

多分この中に書いてあることを川淵さんがTwitterで呟くと、結構炎上しそうなことが書いてあります。

 

例えば、トルシエのフラット3は良かったが、指導者としてはユニフォームを引っ張れということを公然と選手に伝えていたので好きではなかったとか、リッピ監督に中国が10億円も給料を出しているが、よくあの監督にそんな大金出すなぁとか、言いたい放題です。

 

でもですね、そういうことよりも私の知らなかったことがたくさん書いてあったことが面白かったです。いくつか引用しますと

 

一番ダメージを受けたのは女房だった。家には毎日のように嫌がらせの電話がかかってくる。赤い字で「川淵死ね」と書かれたハガキが届いたこともあったし、わざわざ週刊誌の記事を送ってくる人もいた。

 

これは、2006年のドイツW杯の時の話で、日本が1分け2敗だった時の話です。奥さんは、この時のストレスでC型肝炎を発症しました。なかなか壮絶です。

 

そのときクラマーさんには、ボールの蹴り方や止め方などの基本動作を一から教わった。最初は、誰でもできることをなぜやらせるのかと思ったが、実際にやってみると正確にプレーでき、みるみるうちにうまくなった。

 

クラマーさんの話もよく出てきます。日本にサッカーを教えてくれたドイツ人ですね。川淵さんはクラマーさんのことを絶賛しています。ヘディングをおでこに当てるというのもクラマーさんから学んだそうです。

 

著書『心を整える。勝利をたぐり寄せるための 56 の習慣』の印税を全額、ユニセフを通じて東日本大震災支援活動に寄付したり、2016年に代表通算100試合出場を達成したときには、200人ものJFA職員一人一人に、日頃の感謝として直筆のメッセージが入ったクリスマスカードとIDカードケースを贈った。プロ選手としての社会性と感謝の心を持った選手

 

長谷部のこんなエピソードも紹介してくれます。そうか、心を整える本の印税は全て震災に寄付されてたのか。

 

本田は、翌年に迫ったワールドカップロシア大会に自分が出場し、そこで勝ち抜くためには、体力や走力を上げることが必要だと考えたに違いない。そして、敢えて、酸素濃度の低い標高2400mの高地にあるパチューカを選んだのだろう。全く環境の異なる新天地を選んだ思い切りのよさが素晴らしいし、本田らしい

 

川淵さんは、本田圭佑も絶賛しています。これからのサッカー界を担っていってほしいとまで書いてます。

 

あとは、ご自身がされている健康法が紹介されていたり、本の後半はサッカーだけでなく、他の球技全般のことにも触れたりしています。

 

巻末には、犬猿の仲と言われている読売のナベツネさんとの対談も掲載されていて面白いです。お互い、ビビりながら、メディアを通してやりあってたんだなぁというのがよくわかります(笑)。

 

川淵さんのサラリーマン時代のことや、なぜサッカー協会には古河電工出身者が多いのかも書かれています。川淵さんのことを少しでも理解するにはもってこいの本ですね。