LINEから通知が来まして、キリンの公式アカウントとお友達になるとポイントが付きますよ、というお知らせでした。詳しく見てみると、すごく面白そうな内容です。
企画の名前は、「Tappiness」。キリンの自販機の前でLINEをかざしてドリンクを購入すると、LINEポイントが加算される仕組みです。これは面白い。
何が面白いのか?
店舗でドリンクを購入する場合、目の前に顧客がいるので、性別や年齢層はざっくりわかります。今までは店員が判断してレジで「女性、40代」とか入力していましたが、最近はアベジャのような、AIの会社が店舗での顧客データを取得しています。
これが自販機になると、なかなかそうもいかない。また、顧客を、特定できたとしてもこちらから何かお知らせするような積極的なプロモーションが難しいわけです。
というわけで、LINEです。
まずこの「Tappiness」のサービスを使うにはキリンのLINE公式アカウントとお友達になる必要があります。これ、公式アカウントとお友達になると、個人情報がキリンに伝わることになります。
自販機でポイントが貯まる代わりに、個人情報をキリンに伝えてマーケティングに使われる。Facebookと同じ戦略です。個人情報を渡すというのは、それだけ聞くと気持ち悪い感じがありますが、キリンという会社が好きなのであれば、自分の好みに合わせて商品をPRしてくれることになりますので、ユーザーからしても便利な面はあります。
これを店舗でなく、自販機でやろうというのが面白いです。それだけ自販機の売り上げが今でもあり、さらにマーケティングにより、売り上げアップの余地があるとキリンは判断しているということです。
投資がどれくらいか、気になる
今回の戦略で気になるのは、投資額です。キリンとして発生する経費は、LINEへの支払いと自販機を今回の企画に合わせてアップデートしなければいけないことです。
今回の自販機は、実は2017年7月から少しずつアップデートしていたようです。そして、今日からサービス開始。首都圏、関西地域を中心に対応の自販機を増やしていくようです。
公式サイトから。
一台につき、どれくらいの投資額が必要なのか。それなりに数を増やさないと使用率も高くならないでしょうし、認知も低いままでしょう。キリンとしては、大きなプロモーションだと思います。
ただ、マスメディアを利用したものではなくて、自販機一台一台の顧客を調査してプロモーションしていく。すごく最新のマーケティング手法だと思います。
LINEのメリット
もちろんキリンから手数料をもらうことができるという短期のメリットもあると思いますが、長期的にはLINEポイントの使用率を高めて、「LINEで支払いができる」という意識をユーザーに持ってもらいたいのだと思います。
そこからLINEペイにも関心を持ってもらえると、おそらくLINEとしては大きなメリットだと感じられるはずです。
中国のウィーチャットペイのように、お年玉からホームレスへの寄付も含めて、完全に支払いはウィーチャットというように、LINEも支払いインフラを構築したいはずです。
このキリンとのコラボは、そういう思惑も含めて、面白い企画です。いやいや、楽しみなサービスですね。