iTunesでダウンロードして、iPadで観ました。非常に評価の高い作品ですが、内容は戦争物です。楽しい気持ちにはなりません。「やっぱり戦争はダメなんだ。」と再認識するための作品です。
映画の前半では、主人公のすずが、どのような人物で、18歳でどのように嫁入りするか描かれています。観ている側としては、「すずちゃんって、こういう人物なのか。」と少しずつ感情移入していく時間帯です。
アニメーションは丁寧に作り込まれており、戦争の痛々しさを少し和らげてくれています。この映画のすごいところはほのぼのとしたタッチの画風に、辛くて重い内容をかさねてきているところです。そして、とてもディテールがきちんとしていて、戦争当時に庶民の人々がどのように生活していたか、しっかりと描いています。
呉市があんなに空襲を受けた街だとは、今まで知りませんでした。
映画の後半からは、一気に辛くて重い描写になってきます。目をそらさず、ほのぼのとしたタッチはそのままに、えげつない現実が描かれています。どこかのレビューで「夏休みに火垂るの墓が毎年のように放映されるけど、この作品と交互に放映したらどうか?」という意見を読みました。確かにそれくらいのクオリティが感じられます。
重い内容ですが、それを重く思わせないのが、主人公すずの声を担当しているのん(能年玲奈)さんです。これは監督が、「のんさん以外に思いつかない」という熱烈なラブコールで実現したキャスティングだそうです。確かによかった。
太平洋戦争が終わって70年以上経ちます。日本は本当に平和で幸せです。僕がのんびりとサッカーのブログを書いていられるのも平和だからです。でも、やはり戦争の時のことは、きちんとこういった形で意識のどこかに置いておくことが大事ではないかと思うわけです。決して楽しい気持ちになる映画ではありませんが、大事な作品だと思います。