今月の日経新聞名物コラム「私の履歴書」は、北里大学の大村智教授でした。1日も欠かさず、ずっと読んでいましたが、その中で特に心に残った文章は微生物を探すときの姿勢を書いたものでした。
私はメルクと契約する前に、何回か同社を訪ねて微生物を探すグループを見ていた。すると、皆でおしゃべりして笑いながら作業している。あんなにいい加減では駄目だと思ったことがあった。
微生物はみんな「顔」が違う。ただ拾うだけなら、一番大きなコロニー(集落)からとってくれば簡単にすむ。しかし本当によい物、新しい物を見つけようと思ったら、色や形などの特徴をしっかりとらえなければならない。メルクの人たちにその気持ちがあるようには思えず、ウチのグループはもっとよい仕事ができるなと感じた。
(私の履歴書)大村智(20)エバーメクチン 伊豆の土に新種放線菌 メルクとの産学連携が結実 :日本経済新聞
何となく、おしゃべりしながら皆でワイワイやった方が意外と仕事が進むような気もしますが、大村教授はおそらく微生物を探すときも真剣な表情でやっていたのではないかと思われます。おそらく狩りをするように一分の隙もないような気持ちで取り組んでいたのでしょう。
この文章を読んで背筋が伸びる思いでした。大村教授の話は面白かったです。化学屋なのに医学部に入って医者の「如何にも」な態度に辟易した話も印象的でした。そうか大村教授は化学屋なのか、と。
最後の回の本日は、家族のことについて書かれていました。大村さん、一ヶ月お疲れ様でした。