KH Chronicle

1975年生まれ。サッカーのことを多めに書いています。医療と経済にも興味があります。

EURO2012を観た感想(その2)。

さて、EUROの感想その2です。グループCのスペイン対イタリアが良かったところまで書いたので、クロアチア戦からですね。グループリーグは、ほとんどイタリアに絞って観戦していたので、「他の国のことは?」と聞かれてもあまり答えられません。それでもドイツは安定しているなと感じていました。



クロアチア戦もイタリアがかなりの押せ押せで試合を進めていました。前半のゴールシーン、ピルロのFKはきれいでしたね。後半にヴォルフスブルクマンジュキッチが得点した時は「やられた〜。」と思いました。クロアチアは徹底的に高さで勝負してきました。



グループリーグ最後の試合は、アイルランド戦。実はこの時点で、スペイン対クロアチアが2ー2の同点であれば、この2チームが決勝トーナメント進出という状態でした。いろいろなメディアが「上手いこと調節して2ー2にし、スペイン、クロアチアで仲良く勝ち抜くんだろう。」と書いていました。



しかし、スペイン対クロアチアは1ー0でスペインの勝利。イタリアがアイルランドに2ー0で勝ったため、スペインとイタリアが決勝トーナメントに進めることが出来ました。この時、イタリアのGK・ブッフォンが「スペインに借りを作ってしまった。」と言っていたそうです。



プランデッリ監督がこの試合から3ー5ー2ではなく、4ー1ー3ー2にしてきました。3ー5ー2は選手の体力消耗が激しいと言うことを聞きましたが、個人的にはデ・ロッシがCBの3バックシステムは大好きだったので、ちょっと残念でした。



決勝トーナメントのドイツ戦で大爆発したバロテッリですが、グループリーグでは緊張していたのか比較的おとなしくしていました。スペイン戦でイエローカードをもらっていたので、その影響もあったかもしれません。でも所属のクラブチーム(マンC)にいる時とは明らかに表情が違うなと感じました。



バロテッリは代表チームが大好きなんだなと見ていて思いました。というか、イタリアの選手全員、今大会はすごくまとまりがあったように思います。チーム一丸になっていて、見ているこっちもすごく応援したくなるチームでした。



決勝トーナメントは、イングランド(0ー0で、PK戦4ー2)、ドイツ(2ー1)、スペイン(0ー4)と進んだわけですが、ハイライトとしては、イングランド戦のPK、ドイツ戦のバロテッリ覚醒、スペイン戦での涙・・、というところでしょうか。



イングランド戦のPKは、歴史に残る勝負だったと思います。PKってだいたいどっちが勝っても「くじ引きみたいなものだし、しょうがないか。」というイメージがあるのですが、イングランド戦のPKは、ドラマがありました。その主役は、イタリアのレジスタ(演出家)、ピルロ



PK戦でそれぞれ2人が蹴り終わったあと、1ー2でイタリア劣勢でした。そこに登場したのが、何を考えているのかわからない表情のピルロ。外せばかなり状況が悪くなる場面でピルロは魅せてくれました。イタリア語で「スプーン」を意味する「クッキアイオ」、いわゆる”チップキック”でイングランドのGK・ハートからゴールを奪ったのです。

すごい勢いで左方向に飛んだハートをあざ笑うように、ゆっくりとボールはネットに吸い込まれていきました。あの場面でなんという精神力。

それで流れを引き戻したイタリアは、ブッフォンの好セーブもあり、イングランドに勝利しました。いやぁ、あのシーンは本当に見応えがありました。ピルロのチップキックは、角度と言い、スピードと言い、完璧でした。



準決勝はドイツ戦。さすがに優勝候補だし、厳しい試合になるかなと思ったのですが、これが今大会で一番スッキリとした勝ち試合になりました。カッサーノからのショートクロスをバロテッリが頭で合わせた1点目と、モントリーヴォからの大きな縦パスをバロテッリが受け取り、豪快に決めた2点目。

まさかこんな鮮やかに2点取れるとは思っていなかったので、テレビの前で叫んでしまいました。そして、バロテッリの筋肉ムキムキパフォーマンス(笑)。



Numberの記事で、「ドイツがまとまってなかった。」と言う文章を読んだのですが、確かに個人のレベルで言うとドイツってすごいポテンシャルを感じさせるのですが、チームとしては圧倒的にイタリアの方が勝利に対するこだわりが感じられました。ドイツは若いチームですから、精神的にもまだこれから伸びるかもしれませんね。



決勝は、グループリーグでも戦ったスペイン。好勝負を期待しましたが、スペインが今大会最も状態が良かったのに対して、イタリアは満身創痍の状態でした。キエッリーニが前半早々に負傷退場し、後半入ったばかりのモッタもわずか5分で肉離れを起こし退場。この時点で勝負ありでした。



スペインは、狭いスペースでもどんどんパスを回してきますし、イニエスタのドリブル突破力もあります。試合の終盤には若いマタも投入してEURO決勝という大舞台を経験させることも忘れていませんでした。やるなデルボスケ、と思いました。

今大会のMVPはイニエスタとのことですが、納得の選出です。イニエスタは本当に楽しそうにサッカーをやる選手だなと思います。



最後に国歌斉唱について。イタリアの選手は(特にブッフォン)、試合前の国歌斉唱を力一杯歌っていました。これは見ていて気持ちよかったです。やっぱり国歌はでかい声でどーんと歌いたいですね、どーんと。

以上、EURO2012を観た感想でした。本当に楽しい大会だったな。