Allez Urawa

1975年生まれ。浦和レッズのことを多めに書いています。その他のこともちょこちょこと。

欲望の資本主義2018(NHKのテレビ番組)

1月3日にNHKで放映された「欲望の資本主義2018」をやっと見ることが出来ました。この番組大好きで、1時間50分と長尺ですが、メモを取りながら毎回見ております。現代の資本主義をどのように定義するか、我々はどのように生きていけば良いのか、いろいろな識者が語ってくれます。

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↑こちらが制作者のTwitterです。番組情報などを流してくれますので、気づいたら放映が終わってたというリスクを減らしてくれます。

賃金が上がっていないのは日本だけではない



今、新聞なんかを読んでいると日本のGDPがここ20年くらい、ほとんど変わっていないという記事を目にします。それに連動して賃金も上がっていない(むしろ下がっている)。

しかし、この番組では、米国も引き合いに出し、実は1975年以降、インフレ率を考慮すると中級階層の賃金は上がっていないと言うことがわかります。そこで、一昨年の大統領選挙の時に、バーニー・サンダースの人気が上昇したことがあります。

サンダースは大学の無料化や、社会保障費、医療費などの充実を掲げ、資本主義よりもむしろ社会主義のような政策を打ち出しました。これが若者に受け、支持を得たわけです。米国のような国でも確実に社会主義の芽は残っているわけです。

そして、資本主義を駆動しているのは、中流階層の高賃金であるということを、とある識者が示しています。その階層の賃金が上がっていないと。これは資本主義の危機であると言うことです。

80年代のレーガンとサッチャー



50〜60年代は、大企業が労働者の待遇を重視し、賃金を上げ、この階級の生活を良くしました。しかし、80年代にレーガンとサッチャーがこの社会システムにメスを入れました。ここから労働者の賃金は抑えられ、支配者がより多くの果実をものにする仕組みになったのだと番組に出てくる学者は言います。

最近はあまり新聞に出てきませんが、自民党が「トリクルダウン政策」を取っているのはよく知られていますが、このトリクルダウンを作ったのはレーガンだそうです。大企業に収益が多く行くようにすれば、その下にある会社、従業員、家族にも恩恵が行くだろうというアイデアですが、現在、この仕組みはうまくいっているのでしょうか。

現在は従業員の賃金も上がらず、設備投資よりも内部留保する企業が多いです。つまり、上層部でお金の流れが止まっていることになっています。そして貯まったお金は、投機に使われることになります。ウォール街の解放につながっています。

創造性か死か



面白かったのが、番組の後半、とある経済学者が、「昔は労働者で搾取されているのは体力だった。今は創造性が搾取されている。AI、ロボットのおかげでルーティンワークはなくなり、人間にとって創造性が義務になっている。義務なのだ。」と発言していたところです。

そうか、今は経済誌なんかを見ると、「AIに取って代わられる職業」なんて記事を見ますし、とにかく人間ならではオリジナリティある活動が求められています。この番組では、ここに警鐘を鳴らしています。

フロイトの「文化への不満」という本から引用して「芸術家にならなければいけない不幸」という言葉を使っています。つまり、芸術家というのは常に創造性が欠如することを恐れていると言うことです。これは恐怖につながります。AIの登場によって、人間がこのように常に創造を求められるという緊張が起こっていると言うことです。

ベーシックインカム



上手に構成しているなぁと思ったのが、番組の終盤に「ベーシックインカム」を持ってきたことです。ベーシックインカムを知らない人のために少し説明しておくと、今、じわりとヨーロッパで出てきている社会制度のことで、国民全員にある程度の給与を国が出す仕組みのことです。

フィンランド政府は17年からベーシックインカムの実験を始めた。都市での事例はあるが、国家単位での試みは初めてだ。25~58歳の失業者2千人を無作為に選び、2年間にわたって月560ユーロ(約7万6千円)を支給する。支給されたお金は非課税で、職を見つけても減らされることはない。

引用元:格差是正へ所得補償、フィンランドが社会実験  :日本経済新聞


AIとロボットの登場により、近い将来に人間の労働時間は週に20〜25時間くらいになるだろうと言われています。今の半分くらいですね。これで賃金が減れば、「AIなんて要らない!」と猛反対の声が聞こえてきそうですが、この賃金を補うのがベーシックインカム制度です。

全国民の労働時間が減るのですから、それを補うためにベーシックインカムを導入するわけです。番組では、実はニクソン大統領の時に米国でベーシックインカム制度を検討したことがあり、2度議会を通過したという驚きの事実が出てきます。

実証実験もしており、非常に良好な結果だったと言うことです。しかし、唯一、離婚率が上昇したという結果で保守派の共和党などが反対し、実現しませんでした。ただ、これはあとから離婚率の上昇はなかったことがわかりました。すごい歴史があるもんですね。

まとめ



世界の先進国を見るとここ20年ほど、賃金は上昇していません。世界で「幸福度が高い国」として北欧が良く出てきますが、あそこは半分社会主義国家のようなところだと何かの本で読んだことがあります。

社会的な仕組みとして、労働者の賃金を上げないと会社の利益が増え、株主の持ち分が増えるというところが挙げられます。こうなってくると、資本主義のダークサイドな部分が顕わになってくるわけです。今回のこの番組では、資本主義のダークサイドがより強調されていたように思えます。

AI、ロボットが出てくることによって、ストレスが減り、幸福な社会がやってくるといいなと思っております。ベーシックインカムな社会になると、余暇を上手に過ごせる人がこれからの時代はいいんじゃないかなぁなんてぼんやり思いました。図書館が大流行したりして。